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量子力学 運動量表示の意味と演算子の行列表示(1)

 今回は量子力学における、演算子の行列表示について説明します。

文章中の数式を作ることが出来ないので、例えば、本来は太字のところを太字に書かない時は、(太字)というように書きます。

 

 

 

演算子に対応する行列の定義

以下では記述を簡単にするために固有値は全て離散的としています。連続固有値(例えば運動量演算子に関する固有値)の場合は自分で考えてみてください。

数式群(A)

f:id:feynmandiagram:20190213101822p:plain

 

(3)は行列B(太字)の成分の定義である。ここで、B(ハット)はエルミート演算子、すなわち物理量に関する演算子とする。

(2)はA(ハット)の固有状態の規格化条件を表す。

(1)のように、演算子A(ハット)にたいする固有状態のケットベクトルを取れば、(4)のように、行列A(太字)は対角行列となる。

このように、A(ハット)の規格化された固有状態を取れば(規格化されてなくてもよいが)、行列A(太字)は対角行列となる。

従って、(1)、(2)のように、A(ハット)の規格化された固有状態を完全系をなす基底として取ることを「A(ハット)を対角化する表示を取る」または「A表示を取る」という。

 

 

運動量表示の意味

上の部分で議論したように、運動量表示とは、「運動量演算子の規格化された固有状態を基底として取り、様々な状態を表すこと」である。

 

ここで、固有状態とは、運動量の規格化された固有関数でも、固有状態を表すケットベクトルでも構わない。

 

ここでは規格化された運動量の固有関数を基底として取ることはどういうことかを説明していく。

数式群(B)

f:id:feynmandiagram:20190212222020p:plain

(2)はまさしく運動量表示である!

 

規格化された運動量演算子に対する固有関数を(1)とする。

運動量の固有関数を完全系だとすると、任意の状態を表す波動関数は(2)のように表される。

(2)では任意の波動関数を、規格化された運動量の固有関数の線形結合で表している。つまり、規格化された運動量の固有関数を基底として様々な状態を表している。

 

これは、〇〇表示の定義なので、(2)は運動量表示といわれるのである。

(運動量演算子に関する固有値は連続的なので、上のほうで話した固有値が離散的な場合とは少し話が違うので注意が必要ですが、考え方は同じです)

 

 

今回の話はこれで終わります。

お読みいただきありがとうございました。

 

 

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