大学物理の内容を整理する
※偉そうな口調で書いていますが、自分の頭を整理するために書いているので、許してください。
力学
力学において重要なのは角運動量、慣性モーメント、連成調和振動子、微分方程式、など。
連成調和振動子では重心座標と相対座標に分けることで、連立微分方程式の対角化を行う事が出来る。
連立微分方程式を対角化を用いて解く、という手法を学んだりするため、線形代数との関連も深い。
他には、
空気抵抗とばねの力があるような系について、の減衰振動、臨界制動、過減衰
万有引力などの相互作用をする形について、換算質量を用いることで、問題を簡単に解く方法
運動量保存やエネルギー保存
微分方程式の解き方
などについて学ぶ。
微分方程式を解くというのが主要なテーマになるので、微分方程式の解き方だけでなく解き方の仕組みを抑えたり、線形代数を用いて連立微分方程式を解く手法を学んだり、(実対称行列は直交行列で対角化出来ることや、エルミート行列はユニタリー行列を用いて対角化出来ることも重要)積分計算をうまく出来るようにするべきである。(ヤコビアンがどのように導出されるかなど)
また、微分方程式を解くという観点でいえば、グリーン関数やフーリエ変換・ラプラス変換を用いた微分方程式の解き方を抑えておくべき。また、常微分方程式と偏微分方程式、線形微分方程式と非線形微分方程式など、きちんと分類分けをして、微分方程式の解き方を理解しているかも重要。
また、統計力学でも重要になるが、テイラー展開を用いた近似法についてもきちんと理解しておくべきである。(テイラー展開の導出は出来るかなど)
また、相対論的力学との違いについても、理解を深めておくべきだ。相対性理論は相対性理論、力学は力学だけで理解をするのではなく、なぜ力学だとこうで、相対論だとこうなるのかという点を理解しておくと、知識がごちゃごちゃにならない。慣性質量と重力質量の違いなども理解しておけば望ましい。
特に、調和振動子は、量子力学や統計力学、解析力学など、様々な分野との関連が深く、他の分野との対比の中で今後も理解していくべき事項。
電磁気学
電磁気学は、相対性理論や量子力学など、現代の物理学に深く関連している。
最も重要なのは、4つの方程式からなるマクスウェル方程式である。
それに加えてクーロンの法則と、重ね合わせの原理も、基本法則として重要である。
私の記憶ではクーロンの法則と、重ね合わせの原理、相対性理論を用いて、マクスウェル方程式を導くことができたと思う。(少し議論があいまいだったような気もしたが)
また、マクスウェルの方程式を導くうえで、ガウスの定理、ストークスの定理なども重要である。これらの定理の導出もできるようになっておくべき。また、ベクトル解析の公式に関しても、基本的な部分は抑えておくべきである。その際に注意すべき点は、ベクトルとナブラを同じようにベクトル解析の公式に当てはめると変な事になることがあるという事。ナブラはナブラで別のベクトル解析の公式があるので注意。
マクスウェルの方程式を用いて、電磁波の波動方程式を導く方法も出来るようになっておくべき。また、誘電体同士の境界面で電場、磁場などの接続条件がどうなるかを、マクスウェルの方程式を用いて考える方法もきちんと理解しておくべき。
電磁波については、TE波、TM波などの波について計算する方法や、境界面でどう屈折するかを表すスネルの法則や、反射の法則を導く方法についても理解しておくべき。電磁波は、振動と波動論との関連も深い。
(高校で雑に学んだ内容の伏線を回収していくことが大事)
また、ルジャンドル多項式や、球ベッセル関数は、量子力学などでも使うので、できれば理解しておくべき。
また、電位やベクトルポテンシャルを導入することで、電場や磁場を楽に計算することが出来ることがあることについても学んでおくべきである。ガウスの法則の微分形も問題を解くうえでは重要である。
他にも、電気双極子モーメントや磁気双極子モーメントの概念、磁気双極子モーメントがつくる磁束密度は微小電流ループがつくる磁束密度と同じであること、相対性理論によって電場から磁場が導かれること、相対論における電場と磁場の関係と、その関係がマクスウェル方程式を慣性系同士で不変にすること、を理解しておくべきである。
量子力学との関連でいえば、電磁気学で考えられる古典的な場の概念(電場とか磁場)をしっかりイメージでとらえておくと、場の量子論(そこでは場が量子化される)の勉強にもつながってくる。
また、電気回路でコンデンサー、コイルによって位相がどのように変化させられるのか、逆回路などの回路の組み方も理解しておくことが望ましい。
熱力学
熱力学では、微小量同士の関係を扱うという事が重要なテーマになる。
統計力学では、温度や、化学ポテンシャル、圧力などを、必要に応じてその物理的意味に合うように定義していき、量子力学との関連の中で、指数関数などを用いて様々な物理量(エネルギーなど)を数式として求めていく。
それに対し、熱力学では、基本的に、熱力学第一法則、第二法則をもとに、温度やエントロピー、体積、圧力などの微小量同士の関係を求めることが凄く重要(統計力学のように、値を数式で表すことも普通にあるが)。量子力学とあまり関連付けて学ばないため、対応できる状況の数は統計力学よりも少ないと思われる。また、エントロピーなども、物理的なイメージを伴わないまま、天下り的に定義し、それが状態量であるということを確認したうえで理論を進めていく。
具体的には、
ファンデル・ワールスの状態方程式
エントロピー増大則・不可逆変化・可逆変化
熱力学第0・第一・第二・第三法則
ヘルムホルツ・ギブスの自由エネルギー・エンタルピー・ルジャンドル変換・マクスウェルの関係式
示強変数・示量変数
ジュール・トムソン効果
色んな熱力学的関係式の導出
カルノーサイクルなどの熱機関
などについて学ぶ。
振動と波動
振動と波動という分野があるのは、 振動、波動は、量子力学、場の量子論、解析力学、統計力学、力学、電磁気学、流体力学など、多岐にわたる分野で凄く重要になるからである。
振動と波動では、
連成調和振動子
基準振動
うなり
波動方程式(一次元、二次元、三次元)
群速度、位相速度
レンズでの回折(中学校で習った内容の複雑バージョン)
波の反射、透過
地震計やラジオ、テレビ電波などの原理
Q値
などについて学ぶ
波動方程式が最も重要で、その解の形がどのようになるかはきちんと押さえておくべき。また、群速度と位相速度がごっちゃにならないように気を付ける。
フーリエ変換は、他の分野でも凄く重要なので、振動と波動論を学ぶ機会に、導出まで完全に理解しておくべき。
また、連成調和振動子は、統計力学のアインシュタイン模型でも重要になってくるので、理解しておくべき
物理数学
物理数学で重要なのは、
複素関数論(留数定理など)
である。
これらは大学院入試の数学などで問われることも多いだろう。
これらの5つは、互いにつながっていて、
デルタ関数のフーリエ積分表示などには複素関数論が使われているし、線形代数でも複素数を用いた行列が扱われるし、微分方程式はフーリエ変換やラプラス変換を用いて解くといい時が良くあるし、微分積分学は微分方程式やフーリエ変換・ラプラス変換・複素関数論で重要だし。
それに加えてこれら5つのテーマは物理でめちゃくちゃ使われる。
フーリエ変換・ラプラス変換はあらゆる分野で。(量子力学、振動と波動など)
微分方程式の解き方も、あらゆる分野で。
ただの数学と思って、全然勉強していないと、後々後悔すると思う。
解析力学
解析力学で最も重要なのは
ハミルトンの正準方程式(正準変換も重要)
の二つだと思う。オイラー・ラグランジュ方程式と、ハミルトンの正準方程式は等価だけど、どちらも重要。
束縛条件がある場合にどのようにして作用を定義するかや、対称性と保存則がどのように関連するか(ネーターの定理(場の量子論でも学ぶ))についても理解しておくべき。
なぜ解析力学では力学と等価であることをわざわざ色んな事して別の形で表そうとするのかというと、同じことでも色んな形で表すといろんな発想に繋がりやすいから。
現に、ポアソンの括弧式などはディラックの正準量子化などの考えにもつながってくる。
また、ニュートンの運動方程式で考えるよりも、オイラー・ラグランジュ方程式や、ハミルトンの正準方程式で問題を解いたほうが簡単に解けることも多い。
作用やハミルトニアン、ラグランジアンは、場の量子論でも同じように学ぶことになる。
統計力学
統計力学で最も重要なのは分配関数を使った、ミクロカノニカル分布、カノニカル分布、グランドカノニカル分布の理解である。
この方法そのものについて、きちんと理解しておけば、色んな状況に対応できる。
それに加えて、温度、圧力がどう定義されるか、や、アインシュタイン模型、デバイ模型、イジング模型、ボース・アインシュタイン凝縮、高温、低温極限で比熱などがどうふるまうか、バンド、古典統計力学近似と量子統計力学の手法の違いについても理解しておけば望ましい。
ラグランジュの未定係数法は解析力学でも学ぶが、統計力学でも重要である。
そのほかにも、エネルギー等分配則や、定性的な理解をすることが出来るか、フェルミ分布、ボース分布なども重要である。
量子力学との関連でいえば、境界条件によって運動量が量子化されることについても知っておくべき。
また、近似が統計力学においてはものすごく重要なので、どのような考え方で近似をしていくかについても学んでおくべき。
相対性理論
相対性理論で重要なのは、力学との違いを認識しながら学んでいくこと。
また、3次元で不変なものとしてベクトルがあったのに対し、相対性理論では時間と空間を同時に扱うために、4成分のテンソルが使われることが重要である。
相対性理論における式は全てテンソルで書かれ、慣性系同士のローレンツ変換に応じて式の形が変わらないようにテンソルが変換されることになる。
よく問題などで出されそうなのは、簡単なコンプトン散乱で運動量保存則、エネルギー保存則をどのように使うかなど。
また、テンソルの添え字の縮約や、反変ベクトル、共変ベクトルも重要である。
テンソルに関しては、相対論的量子力学や、連続体力学などでも使われることになるので、苦手意識を持たないように練習しておくべき。
4元速度や、4元加速度の物理的意味や、エネルギー・運動量テンソルや4元運動量に関する保存則についても理解しておくべきである。
一般相対性理論は、多様体でどのように平坦が定義されるか、や、どのような洞察に基づいてアインシュタイン方程式がみちびかれるか、を理解しているか、また、どこに仮定があるのかを理解していることが重要。
量子力学
量子力学で重要なのは
演算子の行列表示
交換関係と同時固有状態を作れるかどうかの関係
スピンや軌道角運動量(回転変換、並進変換についても)
ハイゼンベルクの不確定性関係
線形代数を用いた解法(対角化を用いて固有値、固有状態を求める、など)
交換関係の計算
コヒーレント状態
ブラ・ケット記法
相対論的量子力学の構成
完全系
物理量の期待値計算
近似法(摂動論など)
運動量、位置の固有関数
接続条件やパリティ、振動定理
シュレディンガー描像、ハイゼンベルク描像、朝永・ディラック描像でどのように状態、演算子が変化していくのか(行列、演算子が指数関数の肩についている場合にも慣れておくべき)
水素原子のクーロンポテンシャルやデルタ関数型ポテンシャル、調和振動子のポテンシャル、トンネル効果でのポテンシャル、箱型ポテンシャル、
など、代表的なポテンシャルに対し、定常状態でのハミルトニアンに対するエネルギー固有値、固有関数の求め方は、理解しておくべきである。
(調和振動子の基底状態の求め方は覚えておこう)また、調和振動子については、生成消滅演算子を用いたブラケット記法での考え方も理解しておくべき(場の量子論との関連も深い)
大学院入試の内容を自分で整理するために、大学院入試で出るような、習った内容についてまとめました。
基本的には自分のために書きましたが、誰かの役に立ったり、物理ってこんなことやるんやとしってもらえたりしたらうれしいです。
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