物理人、世界を語る

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場の理論の本(入門書)紹介

今回は私が読んでいる場の理論の本を紹介します。

 

なかなかとっつきにくいのが場の理論ですが、今回の本は入門的な本なので、是非挑戦してみてください。

 

内容はきちんと難しいですが、簡単過ぎてしまうのは逆にあまり良くないと思います。

 

簡単すぎると逆に変な誤解を生んでしまう可能性もあるからです。

 

この本は簡単な内容から徐々に加速して難しい内容に広げていく方式がとられています。

 

では早速紹介していきます。

本の紹介

 

場の理論 (物理学選書)

場の理論 (物理学選書)

 

第1版が発行されたのは1991年で、結構古い本になっています。

 

東大出身で素粒子理論を専攻している武田 暁先生(1924年生まれ)が書かれた本です。

 

私はいろんな本を読んできましたが、新しい本がいいとも限らないと経験的に感じます。

 

場の理論は何十年も前から時間をかけて形作られてきた理論です。

理論が形作られてきた過程の時代の本には、今の時代の本では疎かにされている内容もしっかりとのっていることも多いです。

 

本の内容

最初は解析力学についてざっくりと復習していった後、古典力学から量子力学へつなげていく解説がなされる。

 

量子力学の内容を定式化する方法としてシュレディンガー方程式ハイゼンベルク方程式経路積分などの等価な内容を紹介していったあと、量子力学において調和振動子の問題を生成消滅演算子を用いて解く(第2量子化して解く)ことによって調和振動子のエネルギーをあるエネルギーの粒子の集まりだと解釈することができるようになる。

 

この粒子は物理的実態を伴わないが、これが(場を量子化して粒子を取り出す)という場の理論の考え方につながってくる。

 

それから、ひもの振動、自由粒子、相互作用系、超伝導体、電磁場などの量子化を次々に式を用いて説明していく。

 

また、場を量子化したときに調和振動子と同じように粒子が出てくることが確認される。(例えば電磁場を量子化すると光子が現れる)

 

つまり、

解析力学の復習→場の理論の考え方につなげていく量子力学の解説→場を量子化してどんな結果が現れるか確認しよう

 

という流れで進められる。

 

 

実際に読んでみて体感しよう

とは言っても上の内容の紹介は大まかな概要であって、自分で読んでみると数々の疑問にぶちあたることも多いと思います。

いくら偉い人に場を量子化すると粒子が出るんだ!と言われたところで自分で実際に式の流れや仮定などを確認していかないと結局わかりません。

 

ある教授に言われたことがあります。

 

若いうちに分からなかったこともあとで分かるようになることが多い。若いうちにいろんなことを知るだけ知っておけば後になって分かってくる。

 

という言葉です。

 

今は分からなくても、雰囲気だけでも理解しておけば後は時間が解決してくれる要素も強いと私は思います。

 

ぜひ読んでみてください。