今の学生は本当に「レベルが下がった」のだろうか
今の学生はレベルが低い、という話を聞いたことがある。
准教授の人から聞いたこともあるし、あの有名な東進ハイスクール講師の林修さんもそういっているみたいだ。
自分は「今の学生」だから、少し「今の学生目線」に偏ってしまうかもしれないが、これについて考えてみようと思う。
「今の学生」の立場からはどう思うか
結論から言ってしまうと、そのようなことを言っている人たちは、自分の立場が変わったことによって若い人の実力の見え方が変わったことと、実際に若い人の実力が変わったことを混同している部分もあるのではないかと思う。
基本的に、そのようなことを言っている人達は少なからず優秀な人だ。
優秀の尺度はいろいろあるとは思うが、基本的に優秀な人たちは、学生のころから優秀な人達と関わる傾向が強いように思う。
いわゆる「ヤンキーのような人達」とは関わらず、ある程度まじめに自分が勉学などに取り組める環境で育ってきたのだろうと思われる。
それが大人になって若い人達の面倒を見る機会が増えると、ある程度平等にいろんな若い人と関わることになる。
そうすると今まで関わってきていないような、その人にとって優秀でない人達とも多く接することになる。
その相対変化で、「今の学生はレベルが下がった」「今の若い子はレベルが下がった」と感じる要素も強いのではないだろうかと思う。
もちろん、そういったこともかんがみたうえでそのような発言をしているのかもしれない。
しかし、今の学生を偏った見方で見てしまう原因はほかにもあると思われる。
- 大人が学び終わったことを、若い学生はまだ勉強していない。
- 指導する立場では、主導権が自分にあるので、自分の欠点が見えずらく、相手の欠点が見えやすい
1.について
まず、やったことがあるかやったことがないかで物事に対する認識は大きく違う。自分が時間をかけて学んできたこと、経験してきたことを、若い人達は初めて学ぶのである。
それにしても普通できるだろ、とそのような人たちは思うのかもしれないが、それは自分が今まで関わってこなかった人達と関わってこなかっただけではないだろうか、というのが私の主張である。
2.について
主導権が自分にあると、ここは分かる?あそこは分かる?こうなんだよ?と教える立場なので、相手の欠点、分かっていないところが良く見えるのではないかと思う。
それは、判断する立場である以上、必要な事ではあると思う。
しかし、判断する立場だと、自分が全知全能であるかのように(そこまではいかないと思うが)感じてしまいやすくなるのではないかと思う。
判断する立場だから自分は正しい、と思いやすくなるのではないかと思うのだ。
自分語りになるが、自分は昔から先生に質問することが多い学生だった。
質問に対する答えで助かったことも数知れないが、お茶を濁したような、ごまかしたような言い方で全然納得できないことのほうが多かった。(自分の理解不足もあったのかもしれないが)
今までは先生は「分かっている人」だと思っていたのに、質問をすると、先生の欠点が良く見えるのだ。
学生は先生をなんでも分かる人だと思ってしまう傾向があるように思うが、それは立場の違いによる見え方の違いであることも多いと思うのだ。
そのように当たり前のことではあるが、立場、状況によって見え方というのは大きく変わることだろうと思う。
自分の講師経験にも基づいて
これまでの考え方は自分の講師経験にも基づいている。自分はアルバイトで塾で講師をしているのだが、(自分の高校生のころ初めて勉強した時でもこれくらいは分かったぜ)と思うようなことも多い。
本当に今まで積極的にかかわらなかった種類の人たちとまともにかかわる機会が多いのだ。
しかし、決して今の世代が自分たちの世代よりレベルが低いとは思わないようにしている。立場が変わっただけだ。と。
まだ、自分が学生であるので、その立場の見え方も自分は分かっているからだ。
その様な事を言う人達は、学生だった頃の立場を忘れているのではないかと思う。
てか、そもそも、「勉学が出来る」=「優秀」だというわけでもないし、「何をもって優秀とするか」とかいう議論もあまり人間的でなく、冷たい感じがするので私は好きではないけども。
その様な事を言う人の立場(指導者側)から見て思う事
今は、ゲームがあり、スマートフォンもあり、娯楽がたくさんある。
そんな感じで、学生が講義中にスマホをいじっている姿を見ると、「レベルが下がった」と思うのも無理はない。
確かに、娯楽が普及したことによって、学ぶべきことをきちんと学べていない状況も発生しているとものすごく思う。
現に自分もスマホでyoutubeを見たりして勉強時間が減っていたり家事手伝いをきちんと出来ていなかったりしている。
良くデータを知らないので分からないが、「レベルが下がった」のかもしれない。
しかし、その一方で、「大谷翔平」「羽生結弦」「藤井聡太」さんたちなど、今までに例を見ないほど優秀な人達も生まれてきている。
私としてはそんなにレベルが下がったようにも思えない。
また、娯楽というのも悪いわけではない。
私の経験上、「優秀であるが考えが偏っている」人達も指導者世代には多いのではないかと思う。(多いというだけであって皆がそうといっているわけではない)
それに対して今の若者は「優秀ではあっても謙虚で社会性が強い」印象がある。
その「優秀さ」を比べてどっちが上かは別とすると、今の若者のほうが様々な立場から物事を考えることが出来ているのではないかと思うのだ。
それは、スマホやパソコンによっていろんな種類の人たちを知る機会が格段に増えているからではないかと思う。
昔の優秀な人たちは、優秀な家系に生まれて、優秀な環境で育った人が多いと思う。
しかし、今の若者たちはあまりそのように目線が偏っていないと思うのだ。
結論
「レベルが下がった」というのは自分の立場の変化によってそう感じている要素が強いのではないか
スマホなどの普及で勉強時間は減ってきていたり弊害も大きいのかもしれないが、色んな情報を知る機会が増え、社会性など、むしろレベルが上がった要素も強いと思う。
能力面でも、優秀な人たちは出てきており、前に比べて劣ったともいえない。
最後に
レベルがどっちが上だとか下だとか議論するのは本当は好きではありません。
何が優秀だ、とかそんなことを考えるのも本当は好きではありません。
ただ、最近そのような発言をよく聞くので、若者の立場から思う事を情報発信させていただきました。