リッカチの微分方程式の特殊な場合の解法
今回は、リッカチの微分方程式の特殊な場合の解法について説明したいと思います。
リッカチの微分方程式とは
数式群(A)
m、aは定数。
(1)は(2)においてm=-2としたときの式。
リッカチの微分方程式とは、(2)の式のことを言う。
リッカチの微分方程式が解けるのは、mが特定の形の値の場合に限られる。
今回は、その中でも、m=-2としたときの微分方程式(1)について解く。
同次形の微分方程式は変数分離形にできる
数式群(B)
(1)の形の微分方程式は同次形とよばれる。
(2)のように変数uを導入する。
(3)は(1)の左辺を(2)より計算したもの。
(4)は(1)に(3)を代入したもの。
(5)は(4)を変形したもの。(変数分離形になっている)
(1)は変数uを用いて(5)のように変数分離形にすることができることが分かった。
変数分離形にすることが出来れば、両辺を積分するだけで微分方程式を解くことが出来る。
つまり、微分方程式を解くことができるかどうかという問題が、積分計算をすることができるかという問題に置き換わる。
(A-1)は同次形に変形できる
数式群(C)
(A-1)は同次形の形をしていない。
適当な変数変換により、(A-1)は同次形にすることが出来ることを示す。
(1)ように変数変換を行うと、(2)のような関係が分かる。
(2)を(A-1)に代入すると、(3)を得る。
(4)は(3)を変形したもの。
(5)は(4)を変形したもの。
従って、z=1/yとおくことで、(A-1)を(5)のように同次形にすることが出来た。
変数分離形にして解く
(A-1)を同次形にすることが出来たので、数式群(B)の議論から、(A-1)を変数分離形にして解くことが出来るという事が分かる。
数式群(D)
(1)は(C-5)の式。((A-1)を変形したもの)
(2)は(B-2)。
(3)は(2)より導かれる関係式。
(4)は(3)を(1)に代入したもの。
(5)は(4)を変形したもの。
ここで、uを(6)を満たす定数とすると、(5)は満たされる。
すなわち、(1)の微分方程式は(7)の解を持つ。
uが(D-6)を満たす定数ではないときを考える。
このとき、(C-5)は(1)のように変形される。
数式群(E)
また、(1)の両辺を積分すると、(2)の式になる。
したがって、(2)の積分を計算すれば、uが(C-6)を満たす定数ではないときの(A-1)の微分方程式の解を求めることが出来る。
ここで、(2)の右辺の積分では、1+4aの符号に応じて計算の仕方が変わる。
(i)4a+1=0の場合
数式群(F)
(1)は(D-2)。
4a+1=0ならば、(1)の右辺は(2)のように計算される。
(3)は(D-2)。
(3)を(2)に代入すると、(4)になる。
(5)は(C-1)。
(5)を(4)に代入すると、(6)の式を得る。
(6)が(A-1)の微分方程式の解である。
(ii)4a+1>0の場合
数式群(G)
(1)は(D-2)。
(2)は(1)の右辺の積分計算
(3)は(D-2)。
(4)は定数e^CをあらためてCと表記することを示す。
(3)、(4)を(2)に代入すると、(5)を得る。
(6)は(C-1)。
(5)に(6)を代入すると、(7)を得る。
(7)が(A-1)の微分方程式の解である。
(iii)4a+1<0の場合
数式群(H)
(1)は(D-2)。
(2)は一般に成り立つ式。
(4)は(D-2)である。
(2)の公式で(3)のようにして(1)の右辺を計算し、(4)を代入すると、(5)のようになる。
(6)は(C-1)。
(6)を(5)に代入すると、(7)の式を得る。
(7)が(A-1)の微分方程式の解である。
まとめ
リッカチの微分方程式(A-2)において、m=-2としたときの微分方程式(A-1)の解を今回求めた。
その解は、(D-7)に加えて、
4a+1=0の場合は(F-6)、
4a+1>0の場合は(G-7)、
4a+1<0の場合は(H-7)
である。
今回の記事はこれで終わりです。
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