物理人、世界を語る

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子供・部下の教育のための心理学

こんにちは、マーキュリー@mercury335です。

私は昔、心理学に少し興味があって、本をいろいろ読みました。(今はあんまり読んでいません)

また、学校で教職の免許を取るために教育のための心理学を学んでいるので、その知識のアウトプットと情報共有をここでしたいと思います。

 

結構濃密に書きました。この記事で書いた心理学がそのまま会社や学校での教育に生かされるかどうかは分かりませんが、こういう考え方もあるくらいの気楽な気持ちで見ていただけるといいと思います。

 

具体的には、お子さんの教育、内容の伝え方、会社や学校での指導などに役に立つと思います。

 

では、書いていきますね。

 

 

 

発達って何?

発達とは、子供が生まれ、大人になる過程での比較的長期的な変化です。

 

発達とは、成長とは違います。成長は物事がうまくなるとかそういう事だけを指しますが、発達とは年を取って衰えるという事も含みます。

このように、発達には獲得的変化衰退的変化があります。

 

発達の一般的な区分

①胎児期(受精から出産までの約40週)

②新生児期(出生後約4週間)

③乳児期(1か月~1歳半)

④幼児期(1歳半~6歳)

⑤児童期(6歳~12歳)

⑥青年期(12歳~20歳)

⑦成人期(20代後半~60代前半)

⑧老年期(60代後半以降)

 

赤ちゃんの時期(新生児期と乳児期)の発達

赤ちゃんには、生まれつき備わっている反射があります。

具体例

吸いつき反射(おっぱいを吸うための反射)

把握反射(手のひらに何かが触れると、握ろうとする反射)

モロー反射(抱っこをしようとしたり、大きな音がしたときに両腕を広げる反射)

新生児微笑(ニコッとする反射)

 

驚いたのは、把握反射と新生児微笑じゃないでしょうか。

赤ちゃんが指を握ってきたり、笑いかけてきたりしたら、可愛い!と思うかもしれませんが、それは反射だそうです。

新生児微笑に関しては、周りから守ってもらえるようにするための本能的な反射だといわれています。赤ちゃんは、生き残るために可愛く出来ているんですね。

 

しかし、発達とともに反射による行動は少なくなっていきます。

「2か月革命」

反射的、生理的な行動はなくなっていって、他者にたいして意図的にかかわるようになります。

「9か月革命」

自分とモノと他者の間の三項関係を形作れるようになります。例えば、モノを見て面白いとか言った感情を人と共有できるようになります。(共同注意)

 

言語習得

言葉の変化

①産声

喃語(なんご)(3~4か月ごろ)(アーアー、ダーダーなどの言葉)

③初語(しょご)(5~7か月ごろ)(初めて発する意味のある単語)

④1語文(1年前後)

⑤2語文(1歳後半ごろ)

 

1語文だけでなく2語文も話せるようになっていくのは、記憶能力の発達も関係しています。何単語もある文章というのは、話している最中に最初のほうに話した単語を覚えていないと話せません。このように、短期的な記憶をとどめておけるようになっていくにつれて、長い文章が話せるようになっていきます。

 

臨界期

臨界期とは、その時期を逃すとある能力の発達が困難になる時期のことを指します。

例えば、人間なら、言語における臨界期が一般的に9歳までといわれています。

 

愛着形成

生後6~8か月ごろに赤ちゃんの心には愛着が形成されます。

愛着とは、特定の人物(特に母親)との強い情緒的結びつきのことを指します。

 

生まれてすぐは反射で周りに愛想をふりまいていますが、生後7~8か月ごろになると、養育者と他者との区別をするようになり、分離不安や人見知りが現れます。

 

認知の発達

認知の発達には、様々な理論があります。そのうちの一つ、ピアジェの発達理論について説明します。

ピアジェの発達理論

試行の発達段階

①感覚運動期(0~2歳)

②前操作期(2~6歳)

③具体的操作期(7~11歳)

④形式的操作期(12歳)

 

感覚運動期(0~2歳)とは

感覚運動期では、感覚と身体運動によって外の世界を認識します。

 

最初は指しゃぶり→ボールを転がす→途中の邪魔なものをどけて、後ろのものをつかむむなど、成長とともに外の世界とのかかわり方は多様になっていきます。

 

前操作期(2~6歳)とは

前操作期は、二つの段階に分けられます。

①前概念的思考段階(2~4歳ごろ)

見立て遊び(実際に目の前にないものを、想像しながら遊ぶこと)などをするようになる。

②直感的思考段階(4~7歳ごろ)

複雑な思考ができるようになるが、目の前にないものを頭の中に思い浮かべて考えることのできる能力はそこまで発達していない段階です。

この時期の特徴としては、例えば自己中心性が挙げられます。

自己中心性とは、自分以外の視点で物事を見るのが難しいということを指します。

例えば、このころの子供は、モノに心があると考えることが良くあります。これは、自分には心があるから、モノにも心があるんだと考えてしまうのです。

 

具体的操作期(7~11歳)とは

具体的に理解できるものについては複雑な思考ができるような時期のことを指します。

比例の概念など、抽象的な事柄についての思考は難しい段階です。

 

形式的操作期(12歳)とは

抽象的なことがらについても論理的な思考が出来るような時期を指します

比例の概念など、抽象的な事柄についても理解が出来る段階です。

 

 

 

学習とは?

学習とは、経験によってもたらされる比較的永続的な行動の変化のことを指します。

疲れたり、お酒に酔ったりして行動が変わることを学習とは言いません。

 

学習の種類(具体例)

レスポンデント条件付け

条件付けと聞くとなんだこの難しい単語は!となるかもしれませんが、考え方自体は単純です。

例えば、動物が餌をもらうときに毎回ベルを鳴らされると、ベルが鳴るだけで唾液が出るようになります。

このように、ある事Aへの反応が、その事と毎回別の事Bが同時に提示されるようになると、Bがその反応に全く無関係な事だったとしてもBを見たり聞いたりするだけでAへの反応が引き起こされるようになることをレスポンデント条件付けといいます。

 

オペラント条件付け

 オペラント条件付けとは、自分から何かをしたときに、それが成功したり失敗したりすることによって学習していく過程のことを言います。

レスポンデント条件付けよりもこちらのほうが一般的によく言われる学習というイメージに近いのではないでしょうか。

 

オペラント条件付けでは、行動に対するフィードバック(答え)が早いほど、また、少しづつの学習であるほど、学習が強化されやすいという性質があります

 

これは、くもんやe-learningなどにも応用されています。

 

役に立つ学習の話

アンダーマイニング現象

具体例を示すならば、普段から勉強をすると何かのご褒美をもらえるといわれて勉強している人は、勉強をしてもご褒美がない人より、報酬がない状況では勉強をあまりしないという現象です。

勉強だけでなく、色んなことに当てはまると思います。

普段からご褒美ありでさせすぎると、ご褒美がないと何もしなくなるというのは、直感的にもそうではないでしょうか。

 

原因帰属理論

成功や失敗をしたときに、その原因を何に帰属するかによって、その後の課題に対する動機付けが変わるという理論です。

例えば、何か失敗したときに、それが自分の能力とか才能によるもの、と考えてしまうと、やる気を失いがちですが、それが運のなさとか努力不十分によるものと考えると、やる気を保つことが出来ますよね。

 

記憶の理論

「忘れること」に関する理論

干渉説

干渉説とは、忘れる仕組みを説明するための考え方の一つです。

それは、以前学んだことが新しい情報を覚えるのを妨げたり、新しい情報を学ぶことで以前学んだ内容を忘れてしまったりするという考え方です。

 

干渉説で忘却をすべて説明できるわけではないと思いますが、このことに日常体験には即しているのではないでしょうか。

 

長期記憶にするには!?

長期記憶とは:ほぼ永続的に残る記憶、容量も無限と考えられる。

長期記憶にするには、視覚的特徴や音の特徴だけを意識して覚えるのではなく、連想的で深い水準の理解や処理をすることが重要です。

 

記憶に関するいろんな効果、現象

文脈効果

学習した時の文脈と、思い出すときの文脈(外部環境や、自分の内部の状態なども含む)が類似していると、思い出しやすくなるという効果。

 

凶器注目効果

犯罪の目撃者が犯人の持つ凶器に意識を持っていかれてしまって、犯人の顔や服装などについてあまり覚えていないという現象

 

人間は、ネガティブな感情だと視野が狭く、かつ深く考え、ポジティブな感情だと視野が広く、かつ浅く考える特徴があります。

 

ワーキングメモリ

ワーキングメモリとは

情報の保持と活用を同時に行う記憶の働きのことを言います。会話や、読書、計算などの活動で必要となります。

 

ワーキングメモリの能力が最も高いのは、15歳~19歳ごろです。

その後は年齢とともに衰えていきます。

文章理解の能力が高い人ほど、ワーキングメモリの能力が高い傾向にあります。

 

ワーキングメモリの能力が低い人のための手段

ワーキングメモリの能力が低い人は、自分の記憶に頼らずに、メモや周りの人を活用するようにすると、ミスが減ります。

 

学び

受容学習をするなら有意味受容学習が大事

受容学習とは、教師から授業内容を伝達されるような学習です。普通に黒板に向かっての授業での学びですね。

有意味学習とは、学習者が知識を既知の知識と関連付け、意味づける学習のことで、機械的学習とは真逆です。

有意味受容学習を達成させるような指導をするためには

例えば、授業の前に今回教える内容を大まかに説明することで、学習者の理解が深まります。

 

学びにはメタ認知が大切

メタとは「高次の」という意味です。

学びにおけるメタ認知とは、内容を学ぶだけでなく、内容を自分が理解できているかどうか、自分の理解の仕方の特徴は何なのか、勉強のやり方はこれで合っているのか、などを認知することを言います。

 

メタ認知をして、問題解決のための方法やプランを修正していく自己調整学習が大切です。

 

学びには批判的思考が大切

批判的思考とは、何を信じ、主張し、行動するかの決定を支えている能動的で主体的な思考のことです。

つまり、感情的に物事を決定するのではなく、色んな立場から理性的・合理的に考えることを言います。

非難と批判は違うとよく言いますよね。批判は議論にとっては必要であることが多いです。

共同学習では批判厳禁にしたほうが上手くいくこともある

共同学習の一つとして、ブレーンストーミングというものがあります。

ブレーンストーミングとは、正しいかどうかは考えすぎず、大量のアイデアを出すことで、問題に対する解決策を見つけるための集団活動のことです。

ブレーンストーミングでは、4つのルールを守りながら話し合います。

4つのルールとは、

①自由奔放②批判厳禁③便乗歓迎④質より量

です。ブレーンストーミングにおいては、とにかくアイデアを自由奔放に出すことを重要視します。非難ではなく批判だとわかっていても、何か反対意見を言われると人は萎縮してしまうことが良くあります。意見を多く出すことを重要視したいときは、非難だけでなく批判も出来るだけしないというルールを作るといいかもしれませんね。

 

発達障害

発達障害には、LD(学習障害)、ADHD(注意欠陥・多動性障害)、高機能自閉症などがあります。

 

世の中には、発達障害の子供や大人が多くいます。あなたの知り合いにももしかしたらいるかもしれませんし、あなた自身もそうかもしれません。

 

発達障害の方は、周りに迷惑をかけるような行動をしてしまう事が良くありますが、それは努力不足とかそういう問題ではなく、遺伝的な能力の問題です。

(例えば、じゃんけんで後出しして相手に勝つことと負けること、どっちが難しいかやってみてください。負けることのほうが難しいはずです。このように、性質上そうなってしまうのです。)

 

もしかしたら、部下に発達障害を持っている方もいらっしゃるかもしれません。

この人、発達障害かもしれない(バカにする意味ではなく)と思ったら、ミスを責めず、発達障害の特性をかんがみた解決策を考えていきましょう。(責めるのはそもそもあまりよくないことですが)

 

(2019年のセンター試験の国語の試験で定規を持っていたとして不正とされた人がいました。その人がどういう方かは分かりませんが、発達障害を持っている方の中には定規で前の文章を隠して読まないと一文一文集中して読めない方がいらっしゃいます。)

 

 

評価における認知の偏り

会社や学校など、様々な場面では評価が重要で、それが時として人の人生を多く左右させることがあります。そのときに気を付けるべき認知の偏りについて解説します。

ハロー効果

他者がある側面で望ましい(望ましくない)特徴を持っていると、その評価を全体的な評価にまで広げてしまう事をハロー効果といいます。

例えば、イケメンは有能に見えるとかいったものです。

 

しかし、この偏見が現実のものとなってしまい得る、という現象があります。

それが次に紹介するピグマリオン効果です。

ピグマリオン効果

ある人に対して期待を持つと、その期待通りの結果が得られる場合がある、という効果。

ある人に対して期待を持つ(将来性を感じる)と、間違いに対してあまり怒りすぎなかったり、質問に対する回答が熱心になったりします。

そうすることで、このピグマリオン効果が起きると考えられています。

 

 

 最後に

心理学は絶対的なものではないので、心理学の知識を得たところで人間はこういうものだ!と決めつけてしまいすぎるのは絶対によくないと思います。

基本的には自分の考え・経験から得た感覚に身をゆだねながらも、偏った考え方をしすぎないようにしたり、人の特性を少し理解しておいたりしたら、役に立つ時が少しはあるのではないかと思います。

心理学は調味料的な役割としてとらえるのがいいのではないでしょうか。

 

 

では、さらば!

 

 

 

 

他にも色んな記事を書きました。

feynmandiagram.hatenablog.com

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