ディラック方程式は負エネルギー解の問題を解決しない
クライン・ゴルドン方程式では、確率保存則の式が上手く作れないという問題と、負エネルギー解の問題がある。
以前の記事で書いたように、ディラックの方程式は、確率保存則の問題を解決する。
しかし、ディラックの方程式は負エネルギー解の問題を解決することが出来ない。
今回はそのことについて説明していきたいと思う。
ディラック方程式は負エネルギー解の問題を解決しない
数式群(A)
(1)はn=2のディラック方程式。(スピン1/2のフェルミオンを記述する方程式)
(2)は確定した運動量に対する平面波(ω(p)はスピノル)
(2)を(1)に代入すると、(3)を得る。
(3)において、ω(p)≠0より、係数行列の行列式が0でなくてはならない((4))
(5)では平面波の運動量ベクトルの向きにz軸をとり、pを新たに定義しなおした。(このpは(2)で用いたpとは異なる)。
(5)をもとに(4)を計算すると、(6)のようになる。
(6)より、(7)が導かれる。
(7)では、負エネルギー解が存在する。
この二つのエネルギーに対する解は独立であり、この二つの解の重ね合わせで一般解を表現することになるので、負エネルギー解は必要。
したがって、負エネルギー解の問題は解決されていない。
今回の記事はこれで終わりです。
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